私的評価
ねじめ正一著『ナックルな三人』を図書館で借りて読みました。先日読んだ『認知の母にキッスされ』がとても面白く、ねじめ正一ファンととなりました。現在も同氏の著作を図書館で二冊予約中です。
『認知の母にキッスされ』では、若年性認知症を発症したねじめ氏の友達が出てきて、その人を題材にした小説を書きたい、確かそんな記述があったので、まさしくこの本がそうなんででしょう。
ひょんなことから再会した中男性二人と、ナックルボールから繋がった中年女性のタマちゃんが織りなす大人の青春・恋愛ドラマです。認知症や介護を扱った本ですが重くなく、始めから終わりまで心が温まる心地よい話でした。
★★★★☆
『ナックルな三人』とは
出版社は文藝春秋、発売日は2017年10月26日。内容紹介
詩人で絵本作家の笹原、画家の石黒、40代後半の美しい珠代という名の女性の三角関係を描く長篇小説です。笹原は編集者に紹介され石黒と出会います。二人はたまたま中学の同級生であると分かり距離が縮まっていきます。石黒は愛想は極めて悪いが憎めない魅力的な男です。一冊の絵本を一緒に仕上げますが、その後、石黒は突然仕事をすべてやめてしまった。石黒は若年性アルツハイマーを病んでいるのでした。そして、ナックルボールを投げることだけに異常に執着します。ナックルボールを仲立ちにして、マドンナたる珠代に出会った二人は、まったく違ったように仲良くなのでした。笹原はじりじりしながら友人と珠代の間を行き来しますが、ある日石黒は失踪してしまい、笹原と珠代は必死で石黒を探し始めるのでした。中年男女三人に遅れてやってきた青春を描く、さわやかで感動的なドラマです。
著者紹介
ねじめ正一[ネジメ ショウイチ]
1948年東京都生まれ。青山学院大学経済学部中退。父は俳人のねじめ正也。阿佐谷パール商店街で「ねじめ民芸店」を営む。81年、詩集『ふ』で第31回H氏賞を、89年、小説『高円寺純情商店街』で第101回直木賞を、2008年、小説『荒地の恋』で第3回中央公論文芸賞を、09年、小説『商人』で第3回舟橋聖一文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
文藝春秋
感想・その他
この本に出て来る「ナックルボール」ってどんな球? よく聞く球種ではありますが、私は実際どんな球種なのか、この本を読むまで知りませんでした。「ナックルボール」とは無回転のボールで、どんな変化するのか投げた本人も分からないような球種でした。実際、YouTubeなんかで動画で見られますが、回転しないボールは異様で、「魔球」という形容がピッタリだと思いました。この後、この三人がどうなっていくのか。ナックルボールのようにどうなるのか分からないのではなく、(石黒を除いた二人は、)最後にはストレート球のようにスバっと大人の恋が成就するのではないでしょうか。
ほぼ無回転で放たれたボールは左右へ揺れるように不規則に変化しながら落下する。その様は「氷の上をつるつる滑るような変化」「木の葉がひらひらと落ちるような変化」と形容される。右へ曲がったボールが左に曲がって戻って来るなど、常識的には考えにくい不規則な変化から、時として現代の「魔球」と呼ばれる。ただしその変化は打席に立っていないと分かりにくく、球速も遅い(100-110km/h前後)ため、スタンドの観客にとってはただのスローボールのようにも見える。ナックルの描く軌道は打者はおろか受ける捕手や投手本人にすら全く予想がつかないものであり、球種が分かっていても容易に打てる球ではない。そのため、ナックルだけを投げ続ける投球で打者を抑えることも可能である。
欠点としては同じように投げても、変化が小さいとただの遅い球になってしまう可能性があることや、不規則な変化のために緻密なコントロールは不可能で、相手の欠点をつく投球、状況に応じた配球というのは難しいことなどが挙げられる。そのため、ナックルボーラーには打者との駆け引きよりもナックルの投球に集中する事が要求される。また、自然条件の影響(風向き、風速、天候、湿度など)を受けやすく、投球内容に大きく差が出てしまうこともある。また捕球も難しく、ナックルボールを捌ける捕手に限定されてしまう。
Wikipedia
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