私的評価
映画『護られなかった者たちへ』を観ました。レンタルDVDでの鑑賞です。
重々しい映画でした。扱っている題材が東日本大震災と、避難所で生まれた連帯感から始まる疑似家族、そして不正受給が蔓延る生活保護制度の問題です。終始重苦しい雰囲気で映画は進み、ホッとできる場面があまりなく、ただただ呼吸を忘れてしまったかのような息苦しい映画でした。とは言え、決して面白くないわけではありません。
★★★☆☆
作品概要
監督は瀬々敬久。脚本は林民夫、瀬々敬久。
原作は中山七里の宮城県警シリーズ「護られなかった者たちへ」。
製作は筒井竜平、福島大輔。
主演は佐藤健、その他出演者に阿部寛、清原果耶、林遣都、永山瑛太、緒形直人、吉岡秀隆、倍賞美津子ほか。
2021年10月公開の日本映画です。原作は『河北新報』などに2016年2月から2017年9月に連載され、単行本がNHK出版より2018年1月25日に発売されました。日本の生活保護制度の欠陥に鋭くメスを入れる社会派ミステリー映画です。
作品の紹介・あらすじ
解説
映像化もされた「さよならドビュッシー」などの中山七里の小説を原作にしたミステリードラマ。宮城県で発生した連続殺人事件の容疑者となった青年と、彼を追う刑事の姿から日本社会が抱える格差の実態を浮き彫りにする。監督は『楽園』などの瀬々敬久。『るろうに剣心』シリーズなどの佐藤健、『のみとり侍』などの阿部寛のほか、清原果耶、倍賞美津子、吉岡秀隆、林遣都らが出演する。
あらすじ
東日本大震災から9年が経った宮城県の都市部で、被害者の全身を縛った状態で放置して餓死させるむごたらしい連続殺人事件が起こる。容疑者として捜査線上に浮かんだのは、知人を助けるために放火と傷害事件を起こし、刑期を終えて出所したばかりの利根(佐藤健)。被害者二人からある共通項を見つけ出した宮城県警の刑事・笘篠(阿部寛)は、それをもとに利根を追い詰めていく。やがて、被害者たちが餓死させられることになった驚くべき事件の真相が明らかになる。
シネマトゥデイ
感想・その他
最近(2022年6月現在)ではコロナ関係の持続化給付金の不正受給のニュースが、ニュースになって世間を賑わせています。この映画では生活保護を不正に受け取っている輩(千原せいじさんがそれっぽく演じています)が出てきますが、高級車を所持していたり、受給してパチンコ屋に直行なんかはよく見聞するところです。ところが、不正受給の割合は保護費全体の0.4%程度で大きな変化はないようです。しかも、その中には悪質とはいえないケースも含まれています。例えば、高校生の子どものアルバイト料の申告漏れ(知らなかった)などです。しかし、0.4%程度とは言え、100億円を優に超える金額になっているのを考えると、やはり受給要件の厳格化を推す声が挙がるのも理解できます。
すべての国民は生活保護を受けられる権利があり、要件に該当する人はいかなる場合でも受給できるはずですが、現実は異なるようです。財政難による給付要件の引き下げや、役所による給付の抑制などで、申請してもなかなか給付されないケースがあるようです。
考えるに、日本という国の国力の低下が一番の原因ではないでしょうか。困っている人が利用しやすく、生活を再建することができる、そんな国になってもらいたいものです。この映画を観て、そんなことを思いました。
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