クロサワ コウタロウ著『珍夜特急 2nd season』を読んだ感想

2021年8月6日金曜日

ノンフィクション 読書

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私的評価

クロサワ コウタロウ著『珍夜特急 2nd season』を読みました。ファーストシーズンにあたる『珍夜特急』は「Kindle オーナー ライブラリー」(KindleまたはFire端末を持っていて、Amazonプライムに加入していれば毎月1冊無料で本を読むことができるサービス:2021年1月4日でサービスが終了)を使って読みましたが、今回は購入しました。

全9巻で、カナダのバンクーバーより南北アメリカ大陸縦断した旅行記です。旅した年代は2002年から2003年で、オートバイも250ccからXL600Rファラオに代わっています。今回は写真も付いており旅の様子をイメージしやすく、また内容も前作以上の面白さです。

★★★★★

『珍夜特急 2nd season』とは

内容説明
インドのカルカッタからポルトガルのロカ岬まで、ユーラシア大陸を単独バイクで横断する――。19歳の”私”は、大学の学費を費やして行ったタイ旅行でどこからともなくそんな啓示を受ける。

1巻 カナダ・アラスカ
2000年1月2日、バイクによる約1年にわたるユーラシア大陸横断を果たし帰国した”私”は、一時的にある種の「英雄」となったものの、すぐに現実社会の厳しさに直面することになる。
その日暮らしを続けながら生きる新たな目的を探し続けた”私”は、結局その「何か」を探すために、再び新たな旅に出ることを決意する。
次のターゲットはより危険度の高い新大陸「アメリカ」。果たして”私”の求めるものはこの旅で見つけることができるのか?アラスカの最北端から南米の最南端までのおよそ5万キロにわたる新たな冒険の旅が今はじまる――。
「珍夜特急」よりも、さらに過酷な環境とトラブルに見舞われる新シリーズ第1弾カナダ、アラスカ編。
2巻 アラスカ・カナダ・アメリカ
バイクで南北アメリカ大陸縦断を果たすべく、新たな愛車と再び日本を離れた”私”は、ドイツ人のパートナー2人と無事合流を果たし、最初の冒険の地アラスカへと向かう。
カナダ北端を目指す旅において、「デンプスターハイウェイ」と呼ばれる片道750キロにも及ぶ未舗装道路を走破したものの、それを機に”私”は、前回の旅と異なり、パートナーと共に旅をすることでどこか緊張感を欠いている自身に気づきはじめる。
――これで南端までたどり着けたとしても、それは果たして独力で南北の縦断を果たしたことになるのだろうか――。
”私”は思い悩んだ結果、あるひとつの大きな「決断」を下す――。
「事故」「獣の襲撃」など、とにかくトラブル満載の波乱にとんだ第2巻「アラスカ・カナダ・アメリカ編」。
3巻 アメリカ・メキシコ
バイクで南北アメリカ大陸縦断を果たすべく、新たな愛車と再び日本を離れた”私”は、カナダで合流した2人のドイツ人パートナーと一旦別れて、単独アメリカ東海岸を目指す旅に出る。
道中様々な出会いの世話になりながらたどり着いたシカゴで、奇妙な偶然からあるアメリカ人の家に世話になることになった”私”を待っていたのは、これまで経験したことのない異次元の世界だった。
「でもあたし、やっぱり死にたくないわ」
その言葉に答える術を持たなかった”私”は、今自分があたり前のように生活できているという幸運を改めて知ることとなる――。
シカゴから東海岸まで、そしてそこから一転して西海岸を目指す旅は、度重なるハプニングのせいでなかなか進まない。
苦難の先にようやくたどり着いたメキシコで、果たして”私”が見たものとは――。
アメリカからメキシコまでの旅をまとめた第3巻。v 4巻 メキシコ・中央アメリカ
バイクで南北アメリカ大陸縦断を果たすべく”私”が日本を出てから、既に4ヶ月が過ぎようとしていた。全てが順調とは言えないまでも、それでも旅はアラスカ、カナダ、アメリカを経て、遂にスペイン語圏の入り口となるメキシコへと突入する。
アラスカで一度別れた旅のパートナーたちとも無事に合流を果たし、さらに新しいメンバーも加えたことで、”私”の旅はたちどころに賑やかなものへと変貌する。
しかし人が増えるということは、すなわち主義主張が増えるということと同義である。”私”は、にわかにパーティー内に芽生えはじめた「違和感」に戸惑いながらも、自身の居場所を確立するために奔走する――。
そして逗留することとなったニカラグアで、”私”はひとりの美少女と出会うことになるのだが――。
メキシコ本土から中米ニカラグアまでの冒険をおさめた第4巻。
5巻 中央アメリカ・エクアドル
バイクで南北アメリカ大陸縦断を目論む”私”は、今後のスペイン語一色になる旅のことを考えた結果、ドイツ人の仲間3人と共にニカラグアでの1週間の語学留学に踏み切った。
根無し草を続ける旅から一転して、久しぶりに「家族の待つ家」を持つ生活に浸ったのも束の間、”私”の目前にはすぐにこの旅最大のヤマ場が訪れることとなる。
陸路での侵入が不可能とされる南米のダリエンギャップを越えるために、”私”と仲間たちの新たな奮闘が開始された――。
しかしそれを嘲笑うかのように襲い来るトラブルの数々。果ては天災までが”私”たちの行く手を阻む。
果たして”私”たちは、無事南米に渡ることができるのか――。
舞台はいよいよ中米から南米へと移動。その紆余曲折を全ておさめたために、同じルートで旅を志すライダーにとっては参考書にもなりうる第5巻。
6巻 エクアドル・ペルー
バイクで南北アメリカ大陸縦断を目論む”私”は、難題だった中米から南米への移動を無事果たし、ドイツ人の仲間3人と共に遂に南米大陸最初の国となるエクアドルの大地に立つ。
人生で初めて足を踏み入れた南半球は、北半球とは季節の逆転した、”私”にとってまさに未体験のゾーンだった。
一見順調にスタートしたように思えた南米大陸の旅だったが、”私”に発覚したある「事実」のせいで、パーティーは大きな「決断」を迫られることになる。
果たしてその「事実」とは一体何なのか――。
そしてその「決断」の結果、パーティーは一体どうなってしまうのか――。
物語は神秘の国ペルーに入ると同時に、旅においてもあるひとつの「終焉」を迎えることとなる。
「苛立ち」「不信」さらには「苦悩」までが渦巻く混沌の第6巻。
7巻 ペルー・ボリビア
バイクで南北アメリカ大陸縦断を目論む”私”は、リマでパーティーを分けたことによって、新たなる旅の一歩を踏み出すことになる。
その最初の国となったペルーにおいて、”私”の前に立ちはだかるのは4000メートルを超えるアンデスの山々であり、さらには見渡す限りの砂漠だった。
「世界で一番高くて長い道」をはじめ、地上絵のあるナスカや古都クスコ、そしてマチュピチュといった見所を走り続ける中で、ボリビアに広大な塩湖が存在するという情報を得た”私”たちは、当面の目標をその塩湖に定めることになる。
しかしそこまでの道のりは、これまで”私”が経験したことのないほど過酷なものだった――。
果たして”私”たちは、無事塩湖にたどり着くことができるのか――。
南北アメリカ大陸編において、もっとも苛烈をきわめるエピソード「ボリビアの悪夢」を収録した「冒険」の第7巻。
8巻 ボリビア・チリ・アルゼンチン
「あと6時間で帰ってくる。それまでここで待っていてくれ!」
ボリビアの荒野に相棒をひとり置き去りにした”私”は、あと何キロで町に着けるのかすらわからないまま、ひとり荒れ果てたダートに走り出す。
果たして”私”は、無事助けを連れてまたこの地に戻ってくることができるのか――。
度重なるトラブルは遂に”私”のマシンにまで及び、それは予定よりもはるかに早いペースで失われる所持金と合わせて、最南端までの旅路に立ちはだかる。残り3千キロが重く”私”にのしかかる。
”私”は、旅を継続することができるのか――。
塩湖騒動の顛末に加えて、さらに強烈なハプニングが襲い来るボリビア編、どこまでも続く砂漠の中でオアシスのような出会いに恵まれるチリ編、そして旅のクライマックスへと続くアルゼンチン編を収録した「刮目」の第8巻。
9巻 アルゼンチン
ボリビアで置き去りにした相棒を待つために、たどり着いたアルゼンチンの町メンドーサで、長きに渡って家族ゲームを繰り広げていた”私”にも、遂に「変化」が訪れることになる。
様々な思いが交錯する中で、果たして”私”はどんな決断を下すのか――。
そして遂にたどりついた最南端の地で、”私”は一体何を思うのか――。
アラスカから10ヶ月にわたって続けてきた南北アメリカ大陸縦断の旅は、いよいよ終焉を迎え、それはまた”私”にとって、インドのカルカッタから続けてきた5年にも及ぶ「旅」という生活との別離でもあった。
メンドーサ編の顛末、そして最南端までの旅に加え、出国間際までの度重なるトラブルを収録した「完結」の最終巻。

著者等紹介
クロサワ コウタロウ
東京都昭島市出身。1976年生まれ。公立大学在学中にオートバイで単独ユーラシア大陸横断を思いたち、1999年に愛車XL250Rパリダカと共にインドのカルカッタに渡る。
翌年に無事帰国した後、今度はオートバイによる南北アメリカ大陸縦断を果たすべく、再び愛機に乗って甲信越地方を中心に2年間の出稼ぎの旅に出る。
2002年、カナダのバンクーバーより新機XL600Rファラオでの南北アメリカ大陸縦断を開始。翌2003年の3月に無事帰国を果たす。
その後ホテル勤務、訪問販売員、出版社勤務などを経て現在に至る。

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感想・その他

途中から二人旅の相棒となったドイツ人のラルフ。この人がいろいろと不運を呼び込み、著者はかなり迷惑を被ったりしますが、それでもなぜか憎めなく、人間味あふれる第二の主人公となっています。帰国する時の惜別の描写から、帰国後も頻繁に連絡を取り合っているのかと思えば、ラルフとは音信不通とのこと。笑えましたが、居ますよね、身近にもこんなヤツは。
この『珍夜特急 2nd season』は、著者曰く「ファーストシーズンよりかなり面白い」とのことでしたが、まさにその通りでした。前作を読んだ時も「著者自身の文章力の凄さであると感じます。それは、簡潔でとても読み易く、ウィットに富んでいます」と私の感想を書いていますが、今作はさらに文書が洗練され、内容もかなりレベルアップしています。本当に面白く読めるオートバイ旅行記で、かなりお勧めです。



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1964年生まれ。糖尿病を患ってから、自転車と歩くことを趣味にしています。毎日クスリ飲んでます。

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