私的評価
浅田次郎著『長く高い壁』を図書館で借りて読みました。とても面白かったです。話は、浅田本によくある登場人物のインタビュー形式で進んでいきます。次々に明かされる内容、誰が嘘をついて、誰が本当のことをしゃべっているのか。どんどんと話の中に引き込まれます。
万里の長城、実際に行って見たことがあれば、より一層想像を膨らませて読める本ではないでしょうか。因みに私は見たことがありません。
★★★★☆
『長く高い壁』とは
内容説明
ここは戦場か、それとも殺人現場か――。従軍作家が日本軍の闇に挑む。
日中戦争中の万里の長城。探偵役を命じられた従軍作家が辿り着く驚愕の真相とは?
浅田作品初の戦場ミステリ。
1938年秋。流行探偵作家の小柳逸馬は、従軍作家として北京に派遣されていた。だが、突然の要請で、前線へ向かうこととなる。検閲班長の川津中尉と共に、北京から半日がかりで辿り着いた先は、万里の長城、張飛嶺。そこで待っていたのは、第一分隊10名が全員死亡という大事件だった。なぜ、戦場に探偵作家が呼ばれたのか。10名は戦死ではないのか!? 分隊内での軋轢、保身のための嘘、軍ならではの論理――。従軍作家の目を通し、日中戦争の真実と闇が、いま、解き明かされる。「戦争の大義」「軍人にとっての戦争」とは何かを真摯に捉え、胸に迫る人間ドラマ。
KADOKAWA
著者等紹介
浅田次郎[アサダ ジロウ]
1951年東京生まれ。『地下鉄(メトロ)に乗って』で吉川英治文学新人賞、『鉄道員(ぽっぽや)』で直木賞、『壬生義士伝』で柴田錬三郎賞、『お腹召しませ』で司馬遼太郎賞と中央公論文芸賞、『中原の虹』で吉川英治文学賞、『終わらざる夏』で毎日出版文化賞を受賞。2015年紫綬褒章を受賞。『蒼穹の昴』『シェエラザード』『わが心のジェニファー』『獅子吼』など著書多数。
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感想・その他
久しぶりに図書館の本棚から手に取って借りた本です。余裕で二週間の延長ができると思っていましたが、なぜか延長できなくなっていました。それもそのはず、予約数が10を超えています。いつも本棚に置いてあり、何回か借りようとして止めていた本なので、どうしていきなり予約数が増えたのか…。それは少し前に、新聞の広告欄にこの本の題名を見つけたことに関係していると思われます。どうして新聞の広告に載ったのか、それは文庫本は出版されたからです。多分、それを見て興味が湧き、図書館で予約した、そんなところでしょう。題名である「長く高い壁」とはなんだったのか。もちろん長城のことでもありますが、もっと他のことを言っているのではないでしょうか。ところどころで出てくる日本と中国の違い。「長く高い壁」とは日本が超すことのできない中国そのものでもあるようです。あの日中戦争には大義はあったのか、人間の本性とは。そんなことを考えさせてくれました。
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