私的評価
明治になってまだ11年の1878年、今から142年前の東京から北海道を旅した紀行文です。旅をしたのは当時47歳のイザベラ・バードというイギリス人女性です。この本を読んでちょっとショックを受けました。それは、私が今まで持っていた当時の日本のイメージが、まったく違っていたからです。当時の日本人のことや農村部の暮らしぶりが、それはそれはちょっと怒れるくらい辛辣な表現で書かれていました。産業革命により一足先に近代化されたイギリス人からみれば、当時の日本は未開の地だったのでしょうね。
それはそれとして、明治初期の日本、それも東北の農村部や北海道のアイヌの暮らしなど、非常に興味がそそられる内容でした。
★★★★☆
『日本奥地紀行』とは
内容説明
イザベラ・バードの日本旅行記である。通訳は伊藤鶴吉が務めた。
1878年(明治11年)6月から9月にかけて東京から北海道(蝦夷地)までの旅行の記録で、明治維新当時の日本の地方の住居、服装、風俗、自然を細かく書き留めてあり、近代以前の日本の情勢を知ることのできる資料である。またアイヌに関する記述も豊富にある。
初版は1880年に2巻本として出版されたが、その後版を重ね、関西旅行の記述その他を省略した1885年版が出版された。
Wikipedia
著者等紹介
イザベラ・バード[イザベラ バード]
イザベラ・ルーシー・バード(Isabella Lucy Bird, 1831年(天保2年)10月15日 – 1904年(明治37年)10月7日)は、19世紀の大英帝国の旅行家、探検家、紀行作家、写真家、ナチュラリスト。ファニー・ジェーン・バトラー(英語版)と共同で、インドのジャンムー・カシミール州シュリーナガルにジョン・ビショップ記念病院を設立した。バードは女性として最初に英国地理学会特別会員に選出された。1881年(明治14年)に妹の侍医であったジョン·ビショップと結婚し、イザベラ・バード・ビショップ(Isabella Bird Bishop)、ビショップ夫人とも称された。
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感想・その他
この明治11年は、関東から東北地方にかけて、なかなか梅雨が明けなかったようで、青森到着の8月初旬まで雨ばかりの日が続いたようです。「この年は異常気象だったんだ」ということが分かるわけですが、いつの時代にも異常気象はあるんだなと、妙に納得してしまいました。しかし、衣類も荷物もすっかり濡れて貧相な宿に泊まる、考えても気は滅入りますね。晴天続きの初夏の東北だったら、イザベラ・バードの旅の印象もまったく違ったものだったかもしれません。日本の奥地旅行では、不潔さに悪臭、蚤や蚊に悩まされたと、これでもかと思うくらい書かれています。そのためか皮膚病を患っている人も多かったようですが、当時の農村部ではそんな暮らしをしていたんだなと、改めて思い知らされました。
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