私的評価
南野苑生著『マンション管理員オロオロ日記』を読みました。以前読んだ『メーター検針員テゲテゲ日記』と『派遣添乗員ヘトヘト日記』のシリーズ本第4作で、図書館で予約し読みました。軽い感じでサクッと読めました。このシリーズ本は、いろいろと勉強になり、そして考えさせられます。あとは第1作目の『交通誘導員ヨレヨレ日記』のみとなりました。
★★★☆☆
『マンション管理員オロオロ日記――当年72歳、夫婦で住み込み、24時間苦情承ります』とは
内容説明
はじめにより
大阪の分譲マンションに夫婦住み込みで勤務する私の現在の給料は月15万円。
そこから所得税や健康保険、雇用保険、住民税などが天引きされ、実質手取りは13万円強といったところである。「副管理員」という立場の家内のほうは月にもよるが平均で6万円強。そこから上記のものが差し引かれる。手取りだと夫婦合わせて20万円に満たない額なのである。
これだけ賃金が安ければ、ほかに働き口がある若者はまずやってこない。
それともうひとつは、マンション管理員という職業が、若者ではこなせない職務内容を多分に含んでいるからであろう。
はじめからケンカ腰で怒鳴り込んでくる人もいれば、酔っぱらってフラフラになって駆け込んでくる人もいる。酸いも甘いも噛み分けた器量の持ち主でなければ、本来できない職務なのである。
(目次)
まえがき マンション管理員は、なぜ年輩者ばかりなのか?
第1章 管理員室、本日もクレームあり
某月某日 小間使い:苦情承り人としてのマンション管理員
某月某日 水漏れ:修繕費は誰が持つのか?
某月某日 マンション管理員の日常:朝起きてから夜寝るまで
某月某日 貼り紙の抑止効果:不法駐輪を食い止める方法
某月某日 オロオロ:私の守護神は救いの女神?
某月某日 管理員泣かせのアルコーブ:水道検針の悲劇
某月某日 ゴミを守る:古紙回収業者の言い分
某月某日 クルマが消える駐車場:痛すぎる勘違い
某月某日 カラスとの闘い:市環境課グッズの威力
某月某日 クレーマー:札付き住民にはご用心
某月某日 ドアパッキン:管理員冥利につきる話
某月某日 そしてマンション管理員になる:家内からの宣告
第2章 嫌いな理事長、大嫌いなフロントマン
某月某日 直属の上司:管理のプロとしてのフロントマン
某月某日 私物化:理事長との確執の始まり
某月某日 蜜月:フロントマンと理事長の工作活動
某月某日 時間外勤務:抜いてはならない伝家の宝刀
某月某日 下っ端:管理員の不満の原因
某月某日 テナント:掃除するのはいったい誰?
某月某日 クモの巣商法:クセモノ先生の戦術
某月某日 ミナミの帝王:浪速おとこ、恐怖の豹変
某月某日 また辞めた:コロコロ変わる管理員
第3章 住民には聞かれたくない話
某月某日 不法駐車:おまわりさんは役に立たない
某月某日 騒音トラブル:「階下がうるさい!」
某月某日 犬猿の仲:ある住民紛争の顛末
某月某日 ボール遊び禁止:ボールを取るための厄介な手続き
某月某日 追及!犬糞犯人:歩けども歩けども…
某月某日 ターゲット:わがまま人間が目をつけたのは…
某月某日 おすそわけ:嬉しいプレゼントの言い訳
某月某日 認知症:「明日はわが身」の話
某月某日 社長の訪問:家内の「謝らない」宣言
第4章 マンション管理員の用心と覚悟
某月某日 3大トラブル:逆ギレモンスター登場
某月某日 不思議な家族:その正体とは!?
某月某日 防犯カメラ:防げる犯罪、防げない犯罪
某月某日 モニター確認:防犯カメラを見せられなかったワケ
某月某日 ありがたい理事:管理人の強い味方
某月某日 薬剤散布:赤線引いて目立つようにしといてもらわんと
某月某日 自殺志願者:異様に高い手すりの理由
某月某日 一致団結:一生忘れられない光景
某月某日 おみやげ:ニー・シー・チュンゴレン・マ?
あとがき 最後の住み込み管理員
著者等紹介
南野苑生[ミナミノ ソノオ]
1948年生まれ。大学卒業後、広告代理店に勤務。バブル崩壊後、周囲の反対を押し切り、広告プランニング会社を設立するものの、13年で経営に行き詰まる。紆余曲折を経て、59歳のとき、妻とともに住み込みのマンション管理員に。以来3つのマンションに勤務。毎夜、管理員室で寸暇を惜しんで書き綴ったのが本作である。
フォレスト出版
感想・その他
今回はマンションの管理員というお仕事。私のイメージでは、刑事ドラマなんかで聞き込みされるマンション受付のおしゃべりな老夫婦。しかし、いわゆる「管理人さん」と我々が思っているのが管理員さんのことで、通いの日勤と住み込みという形態があることが分かりました。この本で出てくるマンション管理会社の住み込みは、家賃不要・光熱費無料とのことでした。とは言え、夫婦で20万円に満たないとのことです。通いが無ければ楽そうですが、通常勤務時間外の早朝や夜などに対応せざるを得ない場合がままあり、それはそれで大変のようです。しかし、本当にいろいろな人間がいるもんです。このシリーズ本に出てくるような「いい人」ばかりなら、どんな仕事もやりやすく、しかもやり甲斐も感じられることでしょう。でも、要るんですよね、「いい人」でない人たちが…。
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